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森のどうぶつクリニック

お知らせ

関節の痛みに早く気づくための検査~犬猫の変形性関節症~

こんにちは。森どうぶつクリニック院長の森です。今回は当院で利用している検査センターから新しい検査項目についておしらせがありましたので、ご紹介したいと思います。この検査は変形性関節症(いわゆる関節炎)の早期発見のために使用されます。犬猫さんも年齢とともに関節に変化を生じます。関節痛の症状としては、犬さんは足をかばったり、足を挙げたりと「歩き方」に症状が出て比較的わかりやすいのですが、猫さんはあまり動かなくなる(寝ていることが多い)ジャンプしなくなる遊ばなくなる、など「行動の変化」として出るため加齢のせいと見逃されることが多いです。しかし、疑われる子にお薬やサプリメントを使用すると運動量の増加が見られるので確かに痛みがあるようです。
変形性関節症の診断は一般的には触診とレントゲン検査により行いますが、発症初期にはレントゲン検査では全く“正常”に見えてしまい発見を遅らせたり、あるいは触診では明らかに痛みを示しているのに検査ではっきりしないので様子を見てしまい治療を遅らせる要因となっています。私は以前から動物の痛みに対して、もっと多くの子で治療を開始できないかと悩んでいたので、昔この検査が研究されていると聞いた時にはとても嬉しく期待していました。
変形性関節症とこの検査についてまとめていきたいと思います。

1.変形性関節症とは?

変形性関節症は関節のクッションである関節軟骨の変性と破壊、骨の変形、二次的な炎症を伴う進行性の関節疾患です。この病気の怖いところは完治ができないこと進行性なので徐々に悪化していくところにあります。
想像していただきたいのですが、治すことができない上に徐々に悪くなっていく病気ってすごく怖くないですか?もしかしかすると、年齢のせいで活発では無くなった・寝る時間が増えたのではなく、痛みのせいで以前のように動けなくなっているのかもしれません。

2.どのくらいの犬猫で変形性関節症は発生するの?

変形性関節症の発生率についていくつか報告があります。それらの報告をまとめてみますと、

・12歳以上の犬の45%以上に発生する。

・12歳以上の猫の90%に発生する。

・6歳以上の猫の61%に発生する。

犬さんでは大型犬と小型犬での発生率を比較すると大型犬に多い傾向があります。また、犬種別に比較すると、ポメラニアン、シェットランドシープドッグ、コーギー、ラブラドールレトリーバー、柴犬、トイプードルに多い傾向があります。
猫さんでは発生率が非常に高い傾向があるのがわかりますが、変形性関節症と診断された子でご自宅で症状が認識されるのが40%以下と報告されています。

3.変形性関節症の症状は?~犬と猫の違い~

〇犬さんの場合

・足を引きずる

・頭もしくはお尻をやたら上下にさせながら歩行する ←犬さんの症状で1番気づきにくい症状です

・散歩を嫌がる、段差・階段を嫌がる、登ろうとしない

〇猫さんの場合

歩行に変化が見られないことが多い(足を引きずることは少ない)

高い所に登らなくなる、降りるときに慎重になる

階段を一段一段登る、降りる

・寝ている時間が以前より増える

・毛玉が増える(毛づくろいが減る)

・爪とぎが減る

・トイレを失敗する

犬さんは「歩行」に症状が出るのに対して、猫は「行動の変化」として症状が出ることが多いです。
犬さんの症状で「頭もしくはお尻をやたら上下にしながら歩行する」については、文字にすると難しいので、イメージしづらいかもしれません。しかし、この症状結構見かけます。当院の前を散歩している子達の中でもその症状が出ている子がいまして、本当は声をかけたい気持ちはあるのですが、結局見ているだけになっています。

4.変形性関節症の治療

先述した通り、変形性関節症は完治できません。しかし、痛みを和らげ、生活の質を上げることは可能です。その治療は単に鎮痛薬だけではなく、様々なことを組み合わせて行っていきます。

①体重管理
関節の負担を減らす最大の治療です。減量による関節の痛みを取る効果は鎮痛剤のそれと同等と報告されていますので、体重が多い子に関しては体重を落とすことが重要です。

②環境の改善
・滑らない床:滑ることが関節への負担になるので、可能な範囲でフローリングにマットやカーペットを敷く。
・段差を避ける:散歩などでは階段はあまり使用せず、スロープの利用や抱っこで段差を避ける。
・食事のお皿を高くする:首への負担を減らすために、高さのある食事台を利用する。

③鎮痛薬
・消炎鎮痛剤:人間のロキソニンやイブと同じ仲間のお薬です。関節の痛みは慢性痛なので、常に痛みは出るのですが、時折痛みがとても強くなり症状が悪化します。消炎鎮痛剤はその痛みを抑える効果が強いのでよく利用されます。しかし、副作用の観点からずっと使い続けるのは基本的に避けられます。

・抗体製剤:新しい痛み止めのお薬です。飲み薬ではなく、月に1回の注射で効果が持続するため慢性痛には効果的なです。このお薬は痛みの物質にターゲットを絞って作用するので、副作用も比較的少ないとされています。特に猫さんで効果を実感されるご家族が多い印象です。

④サプリメント
関節痛に関してはサプリメントをよく使用されます。サプリメントではありますが、近年では炎症によく効いてくれるものがありますので、それを積極的に使用しています。ちなみに、関節軟骨の修復作用を期待しているサプリメントもありますが、修復効果は無いとされていますのでその目的では現在使用していません。ただ炎症を抑える作用は多少あるようなので上記のサプリメントが飲めない子は使用することもあります。

早期発見のための検査~CⅡネオエピトープ~とは

読み方はシーツーエピトープです。また、「CⅡNE」と表記して、シーツーエヌイーと記載されているものあるかもしれません。
関節軟骨の主成分はⅡ型コラーゲンですが、変形性関節症ではこのコラーゲンを分解する酵素が異常に働いてしまい、軟骨の変性・破壊を引き起こし発症します。CⅡネオエピトープはその時発生するコラーゲンの分解産物です。したがって、CⅡネオエピトープがたくさん検出されれば、軟骨の変性・破壊が起きているということがわかり、変形性関節症と診断できるわけです。変形性関節症は進行性の疾患ですが、進行度により検出できる検査が異なりますので、以下に各種検査がどのタイミングで検出できるかまとめます。

関節障害

炎症

Ⅱ型コラーゲン分解 ←CⅡネオエピトープ

軟骨障害 ←関節鏡検査

骨棘形成 ←レントゲン検査

跛行(足をかばう)・痛み

運動量・筋肉の低下

生活の質の低下


整形疾患だとレントゲン検査がイメージしやすいですが、かなり進行しないと発見できないです。例えばレントゲン検査では比較的軽度であると思っていても、実際手術で関節を見ると非常に変形が強い状態であることも珍しくはありません。
関節鏡検査の方が早い段階で検出できますが、全身麻酔下で行う検査であり、また実施できる施設も限られているので難しいです。
これらの検査に対して、CⅡネオエピトープはさらに早期に検出可能となります。また、この検査は尿検査で行いますので、犬猫の負担がありません。自宅での採尿が難しい場合は、病院で採取することもできるので簡便に行うことができます。

さいごに

長くなってしまいましたが、変形性関節症と早期発見ための検査、CⅡネオエピトープについてまとめました。
変形性関節症はどうしても徐々に悪くなっていく病気です。しかし、新しい検査の確率によって今までより早く診断できるようになったのはとても喜ばしいことです。早期発見・早期治療により、進行をできるだけ遅らせ、健康寿命を延ばしていきませんか?
もし、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。