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森のどうぶつクリニック

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犬と猫のお口トラブル①~概要~

こんにちは。西葛西の森のどうぶつクリニック、院長の森です。日常の診療で歯石や歯周病など「お口のトラブル」について、ご家族からご質問・ご相談を受けることがとても多いです。近年では人と同様に犬猫でも歯周病が口の中の問題だけでは無く、他の臓器への影響が懸念されています。今回から数回に渡り、犬猫の口腔内のお話をしていきたいと思います。初回は概要として犬猫の特徴や人との違い、歯周病、当院での歯石除去、デンタルケアの方法についてまとめてあります。

①犬・猫の口腔内の特徴

・歯の数は一般的に犬は42本、猫は30本 (人は28本+親知らず)

・歯垢が歯石になる期間 犬:約3~5日、猫:約7日 (人は約20日)

・唾液のpH(酸性/アルカリ性)がアルカリ性で、歯石が形成しやすく、歯周病菌も繁殖しやすい環境

・噛み合わせは、はさみのように上下の奥歯がスライドするので、硬い物を咬むと歯が割れる

人との大きな違いは、歯石になるまでのスピードが非常に速い点です。歯石ができると表面がザラザラになり歯垢が付着しやすくなることで、歯周病が進行していきます。その理由として、唾液がアルカリ性のため歯石ができやすいと言われています。またアルカリ性であることで歯周病菌が繁殖しやすい環境となります。一方、虫歯菌は酸性を好むので、犬・猫さんでは虫歯が少ない要因の1つと考えられます。

また、わんちゃんの機能歯(よく噛む歯)は奥歯で、ハサミのような嚙み合わせなので、馬のひづめや硬いおもちゃにより歯が割れてしまいます。これを破折(はせつ)と言います。歯の中心部(歯髄:しずい)が露出してしまい、さらに縦に割れてしまった場合、そこから感染が起こるため抜歯を検討する場合があります。硬すぎるおもちゃを与えるのはやめましょう!

②犬・猫の歯周病

・2歳以上の犬と猫80%が歯石等の問題があり、4歳以上の10%が重度の歯周病に罹患

・9ヵ月齢から犬の歯周疾患は始まる

・犬において歯周病と心臓・肝臓・腎臓・呼吸器など疾患の関連が報告されている

・猫において歯周病と腎臓病の関連が報告されている

・歯周病を進行させる歯周病菌は歯周ポケット内に存在する ←とても重要

歯周病が発症する年齢については、国内外さまざまな報告がありますが、いずれもとても若い時から歯周病が認められていると報告されています。実際、当院でも1歳齢未満で避妊去勢手術を行う子が多いですが、その時点で歯石の付着がみられることも少なくありません。

歯周病と他の疾患の関連性は人で多く調べられていますが、犬・猫さんでも報告されています。わんちゃんでは歯周病と心臓・肝臓・腎臓・呼吸器の関連が指摘されています。また、海外の報告ですがわんちゃんにおいて、年1回歯石除去(麻酔下)を実施した子はしていない子に比べ寿命が延びるという報告もあり、デンタルケアがより一層注目されています。若い頃からのデンタルケアが健康寿命を延ばす手段の1つになるかもしれません。
猫ちゃんにおいても、腎臓病との関連性が報告されています。猫ちゃんの慢性腎臓病の原因はさまざまであると考えられますが、その中の1つに歯周病である可能性があります。デンタルケアで確実に腎臓病を予防できるとは言えませんが、無理なく続けられるのでがあれば継続する価値はあるかと思います。

次の機会に詳しくまとめたいと思いますが、歯垢・歯石は目に見えるところだけではなく、歯周ポケット内の目に見えないところにも存在します。2つのうち歯周病の進行に関係するのは、歯周ポケット内の目に見えないところの歯垢・歯石です。したがって、目に見えるところの歯石を取ることも大切ですが、それよりも重要なのが、歯と歯茎の間に潜んでいる歯垢・歯石を除去することです。

当院では通常のスケーリングの他に、ルートプレーニングを実施しています。ルートプレーニングとは歯周ポケット内の歯石や汚染されたセメント質を除去する処置で、歯周病治療においてとても重要なものです。ただしこの処置には痛みが伴いますので、全身麻酔が必須となります。そのため、当院での歯石除去はすべて全身麻酔下で実施します。
無麻酔下での歯石除去についてお問い合わせがよくありますが、実施する目的が異なります。見える場所の歯石除去は審美的に大切ですが、歯周病治療にはなりません。飼い主様がしっかりと検討・納得し無麻酔歯石除去を選択されるのであればそれも選択肢の1つかと思いますが、「麻酔下と無麻酔下は麻酔の有無だけで、処置内容が同じ」だと勘違いされている場合は注意が必要です。歯周病に対しても処置をしたいとお考えであれば、麻酔下での処置をご検討ください。

③デンタルケアの種類

・歯ブラシ+歯磨きペースト

・歯磨きガム

・歯磨きペースト

・フード

・飲み水に混ぜるタイプのケア用品

一番効果の高いものはもちろん歯磨きです。歯周ポケットの歯垢もかき出せるのも歯磨きだけです。ただ、人も犬・猫も最初はなかなか慣れないので、少しずつ練習していく必要があります。歯磨きができるまでの間やできるようになった後も毎日行うのは難しいので、他の方法も組み合わせるのが良いでしょう。

歯磨きガムは深いところの歯垢は難しいですが、浅いところの歯垢をとるのに適しています。また、配合されている成分により、口臭予防や歯周病菌の増殖を抑える効果も併せ持つ、便利なツールです。同じ方向ばかりではなく、しっかり左右とも噛ませるのがポイントです!

歯磨きペーストはブラッシング時の他にも、ブラッシングができない日やおやつとして使用することも可能です。実際通常のおやつの代わりにペーストをあげ始めた子で口臭の軽減はもちろんですが、減量に成功した子もいます。

飲み水に混ぜるタイプのものは、他の方法に加える、もしくは、他の方法が難しい子に適しています。含まれている成分は歯磨きガムやペーストと同じで、口臭予防や細菌の増殖を妨げる効果があります。

フードも主に他の方法と組み合わせると良いです。メーカーによってコンセプトは変わりますが、唾液によるミネラル成分が歯石形成にかかわるので、その成分を吸着したり、歯垢の形成を抑える成分が含まれています。

④さいごに

犬・猫さんの口腔内の特徴から、歯周病の導入、簡単にデンタルケアまでまとめました。口腔内についての悩みはどのご家庭でも持っています。まずはおうちの犬・猫さんの口の状態がどうなっているかデンタルチェックを受けに来てください。歯石の状況はもちろんですが、偶然に口腔内のできものが見つかる場合もあります。チェック後に歯石除去の必要性やデンタルケアの方法についてご相談いたします。お口のことで気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

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