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森のどうぶつクリニック

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犬と猫のお口トラブル②~歯周病について~

こんにちは。西葛西の森のどうぶつクリニック、院長の森です。ここ数日とても暑いですね。まだ暑さに身体が慣れていないので、熱中症には十分お気を付けください。今回はお口トラブルの2回目として歯周病についてまとめたいと思います。

歯周病って何?

・歯周病は歯の周りの組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨など)が破壊される病気

・進行すると歯の周りの組織だけではなく、あごの骨も溶かし骨折を引き起こす

・原因は歯垢(プラーク)にいる歯周病菌による細菌感染症

・歯周病菌を含む歯垢は歯周ポケット内に存在する

・歯周病は口腔内の問題だけではなく、他の臓器の疾患にも関連する

歯周病は歯垢に含まれる歯周病菌により、歯の周りの組織(歯肉や歯を支える歯槽骨など)が破壊される病気です。歯肉炎も歯周病に含まれ、「歯周病=歯肉炎+歯周炎」とされます。歯肉炎は文字通り歯肉の炎症のみの軽度の歯周病ですが、歯周炎は歯肉の炎症に加え、歯を支える歯槽骨(しそうこつ)を失わせる重度の歯周病です。そして、歯周病は歯の周囲組織のみならず、あごの骨も溶かし、顎骨の骨折まで引き起こし、さらには、離れた臓器、肝臓、心臓、腎臓、呼吸器などにも悪影響を及ぼします。
歯周病は良く知られた病気ではありますが、非常に怖い病気です。

そんな怖い歯周病の原因は歯周病菌で、歯垢(プラーク)に含まれます。また歯石の中には生きた菌は存在しないとされますが、歯の表面がザラザラになることで歯垢が蓄積しやすくなり間接的に歯周病の進行に関わります。前回のブログでも書きましたが、犬・猫さんの歯垢→歯石になる期間は非常に早く、わんちゃんで約3~5日、猫ちゃんで約7日です。
歯垢には様々な菌が存在しますが、歯周病菌を含んだ歯垢は普段目には見えない歯周ポケット内に存在します。

歯周病はどのくらい多い?

・日本では3歳以上の犬の80%以上に歯垢・歯石が確認される

・9カ月齢から犬の歯周疾患は始まる

・2歳以上の犬と猫の80%が歯石の問題があり、4歳以上の犬猫の約10%が重度の歯周病に罹患

国内外さまざまな報告がありますが、いずれも2、3歳には歯石の付着や歯周病が認められるようです。当院でも1歳未満から歯石が付着している子が少なくはありません。

歯周病の症状

・口臭

・歯肉の赤み・腫れ・出血・できもの形成

・歯の脱落

・根尖膿瘍:内歯瘻と外歯瘻(ないしろう、がいしろう)

・下顎骨の骨折

その他:くしゃみ・鼻水、涙の量が増える

ご家族からのご相談が多いのは、歯石、口臭、歯肉炎です。その他長期間歯垢・歯石が歯肉に接触をしていると炎症だけではなく、できものが形成されます。このできものは良性の病変なので心配はいりませんが、その他の口腔内腫瘤は悪性のものが多いので、念のためその判別のためにできもの切除と病理検査をご提案するケースが多いです。

その他、歯の根っこで膿がたまる根尖膿瘍もよく見られます。膿を排泄するために「通り道(瘻管:ろうかん)」が作られますが、口の中にできる場合(内歯瘻)と口の外にできる場合(外歯瘻)があります。内歯瘻は口の中に膿が排泄されるのであまり気づかれませんが、外歯瘻では主に目の近くやマズルの皮下に膿が貯まるので、その部分が腫れる、もしくは、皮膚が壊死して穴があき膿が流れているということで来院されることが多いです。

特にワンちゃんの鼻炎で多いのが歯原性鼻炎です。主に上顎の犬歯が問題になることが多いですが、犬歯の歯根は鼻腔のすぐ近くにあるため、歯周病が進行すると口と鼻を隔てる骨が溶け、穴があき、鼻と口が通じてしまう口腔鼻腔瘻という病気が発症します。その結果飲食物が一部鼻に通じてしまいくしゃみ・鼻水といった鼻炎症状が見られるようになります。慢性的にくしゃみが続く場合は歯が原因であることが多いのでご相談ください。

歯周病検査

・口臭

・視診、触診

・簡易歯周病菌検査

・プロービング

・X線検査

通常犬・猫さんは口臭はありませんが、歯周病菌が産生する口臭物質も増えてくると口臭が目立つようになります。また、歯周病菌が産生する物質を検出することで歯周病菌の増殖を間接的に調べる簡易歯周病菌検査も簡単に行うこともできますのでお気軽にご相談ください。

プロービングは人の歯医者さんで行われるチクチクして、歯周ポケットの深さを調べる検査です。歯周ポケットの深さは見た目ではわかりませんので、歯周病を調べる検査としてとても重要な検査です。

X線検査、特に歯科用X線検査は歯周病をはじめ歯科疾患に有用な検査です。残念ながら現在当院にはありませんので、通常のX線検査で行っております。

歯周病の治療

・スケーリング(歯石除去)
ご家族の方も歯科で受けたことがあると思いますが、スケーラーと呼ばれる専用の機器で歯ブラシなどで取れない歯石・歯垢を取っていく基本的な処置です。スケーリング後は歯垢が付きにくくなるように歯の表面の研磨処置(ポリッシング)も行います。

・ルートプレーニング
歯周病治療において、歯周ポケット内の歯垢・歯石の除去は非常に重要です。歯周病が進行し、歯周ポケットが深くなるとスケーラーでは難しいです。その時に有効なのはルートプレーニングです。専用の機器を使い、歯周ポケットの奥深くの歯垢・歯石を除去します。

歯石除去後のデンタルケア

・歯みがき+歯みがきペースト

・デンタルガム

・歯みがきペーストのみ

・その他:錠剤、粉末、お水に混ぜるデンタルケア製品、フード

歯石除去は歯周病治療としてとても重要です。しかし、犬・猫さんの歯垢・歯石形成のスピードが速いためその後にデンタルケアをしないとすぐに歯石除去前の状態に戻ってしまいます。無理なく毎日続けられる方法を見つけていきましょう。
歯垢を落とす効果が一番高いのは歯みがきです。ただ、歯磨き自体難しい、歯磨きできるけど毎日は難しいことも多いため、他のデンタルケア製品を組み合わせるのが効果的です。

デンタルケアをしていても歯石はついていくことが多くモチベーションが下がってしまうかもしれません。しかし、普段からデンタルケアをしている子としていない子では、抜歯の本数が大きく異なります。歯石除去と一緒に抜歯を行うことがありますが、デンタルケアをしている子では抜歯処置が少ない一方、デンタルケアをしていない子は10本、20本抜歯することがあります。デンタルケアで1本でも多く健康な歯が残せるようにお手伝いできればと思います。

さいごに

今回は歯周病についてまとめました。よくある病気ですがとても怖い病気です。歯垢・歯石の蓄積を抑えるのは困難ですが、デンタルケアをするのとしないのとでは、口の環境は全く異なります。歯みがきが理想ではありますが、そこまでこだわらずにできることを続けていきましょう。デンタルケア製品の種類は様々ありますので、ご興味があればいつでもご相談ください。
また、デンタルケアを始める前にすでに歯石が目立つのであれば、はじめに歯石除去をしておいた方がよいので、歯石除去ついてもお気軽にご相談ください。

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