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森のどうぶつクリニック

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犬の僧帽弁閉鎖不全症について

こんにちは。森のどうぶつクリニック、院長の森です。先日、数年ぶりに千葉市動物公園に行ってきました。たくさんの動物が見れて楽しかったですが、久々にレッサーパンダの風太くんに会えて満足です。ずっと寝ていましたが。風太くんは現在22歳、7月には23歳になるそうです。これからも風太くんらしい日々を送ってほしいですね。

今日はワンちゃんの心臓病で最も多い僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)についてまとめたいと思います。中齢以降のワンちゃんに多く見られる病気で、初期には症状がはっきりしないので偶然聴診で見つかることが多いです。

1.僧帽弁閉鎖不全症ってどんな病気?

心臓の中には4つの部屋があり、それぞれを左心房、左心室、右心房、右心室に分かれています。血液は一定方向に流れる必要があり、逆流しないように「(べん)」があります。僧帽弁は左心房(さしんぼう)と左心室(さしんしつ)の間にあり、逆流を防いでいます。加齢とともに弁がボコボコと厚くなり、変形していきます。その結果、隙間ができてしまい、そこから血液が逆流してしまいます。逆流する血液の量が増えていくと、心臓がパンパンに大きくなっていき、最悪の場合肺に水がたまってしまう肺水腫(はいすいしゅ)という非常に危険な状態に陥ります。

2.どのような症状があるの?

この病気の怖いところは「初期には明らかな症状を示さないこと」です。そのまま病気が進行しない子もいますが、進行すると以下のような症状が見られるようになります。

・疲れやすい、運動量が減った:散歩に行きたがらない、散歩中よく止まるようになった、遊ばなくなった。

・咳が出る:特に寝起きや興奮時、水を飲んだ後に「カッカッ」とのどに何かが詰まったような咳をする。

・呼吸が早い:睡眠時など安静時の呼吸回数が1分間で40回超えている。ひどくなると、ハァハァが止まらない、上を向いて呼吸する。

3.必要な検査は?

・超音波検査(エコー検査):僧帽弁の逆流をはじめ、血液の流れや心臓の大きさを調べます。

・レントゲン検査:心臓の形や、大きさを調べます。

・血圧測定

僧帽弁閉鎖不全症のメインの検査は超音波検査とレントゲン検査です。特に超音波検査は心臓の病気には重要となります。僧帽弁での逆流が見られ、さらに「心臓が大きくなっている」と診断した場合、内科治療開始となります。その他に状況に応じて血液検査や心電図検査も併せて行います。

4.僧帽弁閉鎖不全症の治療法は?

ワンちゃんの僧帽弁閉鎖不全症で主に行われる治療は内科治療です。残念ながらお薬で変形した僧帽弁を元に戻すことはできませんが、治療の目的は「心臓の負担を減らすことで、寿命を延ばし、生活の質を維持すること」です。実際に症状がないと思っていた子でも、内科治療を始めてから元気に散歩に行くようになったというお声を聴くことは少なくありません。

・内科治療:心臓の収縮を助けるお薬、強心薬(ピモベンダン)が治療の主体となります。適切なステージで使用することで僧帽弁閉鎖不全症の子の寿命を延ばすということがわかってから、内科治療の主役となっています。その他に、血管を拡げるお薬(血管拡張薬)や余分な水分を出すお薬(利尿薬)などを組み合わせる場合もあります。お薬は生涯必要になります。

・外科手術:近年、専門施設で「僧帽弁形成術」が可能となりました。メリットとしては、特定の犬種を除き投薬が必要なくなること、肺にお水がたまる「肺水腫」という危険な状態を回避できることが挙げられます。デメリットとしては、安全性が高まっているとのことですが術中・術後の合併症、手術費用が高額になってしまうことが挙げられます。ご興味がありましたら、専門施設をご紹介できますのでご相談ください。

・食事療法:心臓が大きくなった子は、心臓に負担をかける「塩分」を控えた療法食がすすめられます。

5.お家でしかできないこと

僧帽弁閉鎖不全症を診断した時にご家族にお伝えしているのが、ご自宅で「安静時の呼吸回数」を数えてもらうことです。

・正常:おおよそ1分間で20~30回未満

・肺水腫の可能性:1分間で40回以上

安静時の呼吸回数は寝ている時など落ち着いている時に測定します。1分間数えるのは大変なので15秒間数えて、×4をします。最初は慣れないと思いますが、お時間あるときに繰り返しているとどのご家庭でもできるようになりますし、その子の普段の回数もわかるようになります。肺水腫は救急疾患ですので、ご自宅で早期に発見できると早期に治療が始められます。

さいごに

今回はワンちゃんに多い、僧帽弁閉鎖不全症についてお話しました。この病気は聴診の際に、最初に指摘されることが多いので、獣医師から「心雑音がありますね。」と言われたらとてもショックなことだと思います。しかし、早期に検査・診断して適切なステージからお薬を始めれば、寿命を延ばすことが可能です。まずは聴診からになりますので、病気やワクチン以外の爪切りなどでも病院にご来院ください。
「心臓に雑音が聞こえるといわれたことがある。」、「散歩に行きたがらない、途中でよく休む。」、「咳が目立つようになった。」など気になることがありましたら、ご相談ください。

森 孝昌
森のどうぶつクリニック